手鏡

tekagami

私が死んだらお棺に入れて欲しいと思ってる。
とても気に入ってます。

ある時お客様から突然
「京子さん、好きな花は何ですか?」と聞かれました。

それから半年程して
これを頂きました。

お客様は仕上がりを見て
『仏具みたい』と ひどくがっかりして
私には渡さないつもりだったそうです。
でも、この蒔絵師さんが急に亡くなり

更に、鏡の漆を塗ってくれたお父さんから
蓮は泥水を吸って天に向かって
美しく咲く花だと言われ
気持ちが変わったそうです。

「私と娘ふたり、京子さんの
それぞれの好きな花を入れて作りました」 

ご自分と娘さん・・
そこに私を入れてもらえるなんて・・・

涙が出るくらいとても嬉しかった。

『仏具みたい』
そんなとこが、かえって、とても好き。

花さきがほんのり
ピンク色にしてあります

手掛けた蒔絵師さんにとっての『蓮』は
こうだったのだろうな・・・
それを尊重したいという思いもある。

どんな方だったんだろう・・
どんな思いを篭めていたのかな・・・

漆塗りは角が柔らかくて
優しくて
とても温かい。

自分がダメになりそうな時
これを手に取ると
心が落ち着きます。