5、6年前の入院の時
父は「術後せん妄」になりました。
病室にいるのに
「あの石垣の間に咲いとる花は何ちゅー花や?」
こんな事を言う度悲しかった。
毎日何回も病院に行って
病室から連れ出してこの景色を見ました。
昔の話をしたり
テレビを観たり
廊下を手を繋いで歩いた。
元に戻った時は本当に嬉しかった。
入院した日の夜
病院からお薬手帳を
持って来て欲しいと電話があり
届けた時に衝撃的な事を聞かされました。
「心の準備」と言うけど
「心の準備」が出来てなかった。
コロナのため立ち入り禁止の立て札を見ながら
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
不始末事件のお決まりの頭の下げ方をしてた。
頭の中にインプットされてる事が
つい出るんやなぁ‥自分でも驚いた。
今回の父のせん妄は相当ひどく
その様子は耳を被いたかった。
一番辛かったのは
「梅干し」「梅干し」と叫んでると‥
ああ、私が漬けた梅干しの事言ってるんやな。
誰も悪くない。
誰も悪くない。
繰り返し自分に言い聞かせてました。
それから何度か病院にサインをするため行っても
「父はどんな風ですか?」
怖くて聞けなかった。
聞いても何も出来ない‥
好きな言葉のひとつ
「人生を諦める」北杜夫だったと思う。
息子がよく口にする「仕方ない」
今回この言葉に救われてました。
大切な人のために
何かが出来るのは一番幸せ