父が入院してしまった。
幸いひと月程で完治出来ると言われた。

ほっと胸を撫で下ろしたその夕方
病棟からお薬手帳を持って来るように言われたので
夕飯作りを途中にして届けると
看護師さんから衝撃的な事を聞かされた。

初期の認知症の父は
入院した事が理解できずに暴れるので
拘束‥
つまりベッドに縛り付けることになった。
それでも騒ぐので個室に入れて
壁側に向けている。
管も紙おむつも何もかも引き千切り
裸で縛られてると‥

私は申し訳ありませんと
何度も頭を下げるしかなかった。
それ以外いまの私に出来る事は無い。

コロナで入る事が出来ない事を示す盾を超えて
父の病室に駆けつけて
手を握ってやって
「京子が来たよ」声を掛けてやりたい。
「もう大丈夫」と背中をさすってやりたい。

前回の入院の時も同じ事があった。
毎日2回父を見舞って
病室から出て外の景色を見て昔の話しをして
懐メロを歌ってやると父はみるみる回復した。

コロナが憎いと言ったのは
岡江久美子さんが亡くなった時の
夫である大和田獏の言葉だったか‥
私も憎いコロナが憎い