父の記憶

戦争中か終戦直後の事
大工だった祖父が怪我をして

七尾の病院に入院する事になった。

かなり重症だったのだろう。

その入院に米が必要だと葉書が来た。

長男の伯父は戦争に行っていて
次男の父が行くことになった。
父は伯父と10歳離れた
小学生だった。

米を持って汽車に乗って
警察の検閲に遭うという心配があった。

村の村長に相談した。
当時は解決が難しい事はそうする習慣だった。

村長は七尾から届いた葉書を持って乗り

検閲があった時に見せる様に言った。

実際に検閲があって
葉書を差し出したら見逃してくれた。
田舎者の小学生の父には

相当恐怖だったと思う。