犬のお巡りさん

食事の支度をしていると
TVから流れて来た「犬のお巡りさん」

曲の背景は決まって
「泣いてる子猫に
困り顔の犬のお巡りさん」

包丁の手が止まって
記憶の引き出しが開きました。

義母が突然亡くなった時
家の中は大騒ぎだった。

私は救急隊と警察官から
事情を聴かれました。
その対応はテレビの特集や
ニュースで観るのとは全く違っていた。

いつか見掛けた
泣きじゃくる迷子の子に
「お名前 言える?何歳?」
優しく声を掛けていた
お巡りさんそのものだった。

その優しい言い方は
必死で耐えていたものを壊し
私はわんわん子供みたいに
泣いてしまった。

何を聞かれたか
その後どうしたのか
全く記憶が消えている。

混乱と冷静の波の中で残っているのは
前かがみになって
私に優しく語り掛けた
警察官と救急隊

「犬のお巡りさん」