病院の天井

「くたびれた‥」
会計前の椅子にドサッと
もたれたら見えた天井
初めて見た。

息子ふたりを必死に大きくして
やれやれと思う暇もなく
今は義父に食事を出すのに必死の毎日。
気が付いたら実家の両親が
年を取ってよぼよぼになっていた。

「何も知らないくせに
何もしないくせに」
義弟夫婦に対して思う不満は
兄夫婦から見れば私も同じだ‥

親の面倒をみる人は幸せなのか?
みない人が幸せなのか?

訳の分からぬ事を
大きな声で言う母を宥めて
目を離すとどっかに行ってしまう
父の腕を掴んでたら悲しくなった‥

そんな中でも‥
整形外科の男性の看護師さん
私の事をいつも
「京子さん」と呼んでくれる。
「木下さん」じゃないのは何でかな?
呼ばれる度に心がほっとする。

客待ちのタクシーの運転手さんも
にこにこしてる。
調剤薬局のスタッフさんも優しい。

涙が出るくらい懐かしい人
ふたりもいた。

優しさをいつもより感じる。

都会だったら‥
孤独だろうな。