台風の朝

台風の後の片付けをしていると
一匹の猫がぼんやり座っていた。
お隣の縁の下で生まれた
五匹のうちの一匹。
すっかり大きくなっていた。

ちょっと前まで
無邪気に兄弟達と走り回っていた。
その様子はとても可愛いかった。

今はその時の面影が全く無く
目やにがひどく
諦めたような目つき
すっかり「野良」になっていた。

ご飯をあげたけどあまり食べずに
私をチラッと見上げて
とぼとほと行ってしまった。

何を思ってここに座っていたのか‥
母猫と兄弟たちの匂いが
残っているのか‥
他の猫はどうなったのかな‥

知り合いがうちの猫を
初めて見た時の言葉を思い出していた。

「日本中の猫を助けられる訳じゃなし」