はなたれ小僧

昔々貧乏なお爺さんお婆さんがいました。

ある日ふたりの元に鼻水を垂らした

汚い子供がやって来ました。

名前を「はなたれ小僧」と言いました。

はなたれ小僧は海老のなますが大好物でした。

不思議な事に

はなたれ小僧に海老のなますを食べさせ

汚い鼻水を拭いてやると

願い事が何でも叶うのでした。

お爺さんさんは汚い鼻水を拭きながら

お金や絹織物、お屋敷、たくさんの蔵を出してもらいました。

お爺さんお婆さんはたいそうお金持ちになりました。

ふたりは段々はなたれ小僧に

海老のなますを食べさせたり

汚い鼻水を拭くのが嫌になりました。

お爺さんはお婆さんと相談をして

小僧に出て行ってもらう事にしました。

すると、はなたれ小僧は何も言わず

黙ってお屋敷から去って行きました。

はなたれ小僧がいなくなると

はなたれ小僧に出してもらった

お金や屋敷や蔵の全てが消えてしまいました。

ふたりは大慌てで表に飛び出し

「はなたれ小僧さーん!戻って来てくださーい!」

「あなたの好きな海老のなますを差し上げます。鼻も毎日拭きます」

叫びながら村中を探し回りましたが

はなたれ小僧の姿はもうありませんでした。

お爺さんお婆さんは元の貧乏になりました。

 

 

保育園で見た紙芝居。

不思議と鮮明に覚えてる 笑

とても深い話だと思う。

 

 

同じ価値観を共有出来たり

心地よい言葉を言ってくれたり

いつも笑顔を向けてくれたり

どんな事も受け止めてくれたり

自分に与えてくれる大切な人の事も

知らず知らずに慣れっこになる。

当たり前の感覚になる。

大切と思う気持ち

感謝の気持ちが薄れてくる。

時には軽口を叩き

思い遣りに欠ける行動をしてしまう。

満たされない部分を補うだけの存在にしてしまう。

ある日、突然に永遠だと思っていた

与えてくれる大切な人の気持ちが

恐ろしいくらいに冷めてしまう。

自分の元から離れて去ってしまう。

どんなに後悔をして呼び戻しても

離れてしまった気持ち

大切な人は2度と戻る事は無い。

 

私がこのお話を大人になっても忘れなかったのは

欲深いお爺さんお婆さんは自分であり

時には「はなたれ小僧」でもあったからだと思う。